20211129

 誰もかれもが、誰かと比べ、誰かより優れていようと、いつもそこには競争ばかりで。仕事から、なにから、日常のつまらないことや、芸術の世界までもが競争。

 自分は日常を静かに暮らしたい。誰より優れてるとか、劣っているとか考えていたくない。自分の価値で生きていたい。他人にはつまらなく映ったっていい。

 

 学生だったときは競争の中でやる気に満ち溢れ、認められるために一生懸命だったし、そのぶん人を見下したりもしてきた。卒業をしたときにようやく目が覚めて、自分のしてきたことが愚かしいようにしか思えなかった。結果として成果が残ったこともあったが、他人と常に競争に晒され、埋もれてしまわないように努力していた自分が、本当に醜く思えて頭から離れない。今でもたまに嫌な自分の姿がフラッシュバックする。

 

 誰かを出し抜くための生き方は、うんざりだ。誰かを踏みつけて優越を感じることが自分にとって完全に罪悪となった。みんなが立っている土俵を見ながら、そこへ降りていくことは諦めではないと。

 

 闘志というのは手っ取り早く自分を動かすエネルギーになるが、そんなものを使って絵を描きたくない。自分のやりたいことに、そんな感情を交えたくない。つまらない潔白さのせいで、私は絵を描けなくなった。逆に言えば、闘志だけで今まで描いてきたから、描けなくなってしまったんだ。でも、それによって筆が止まることは、この思考が正しかったと証明しているように思う。次に描く絵が自分の思う形でできる気がしている。純粋に自分のために描きたいという思いが生まれてきている気がする。